基礎知識
今回は、会社の解散手続きについて、財産目録等の作成と税務官庁への届出手続きに着目して、解説したいと思います。
財産目録等の作成と株主総会の承認
会社が解散した場合、清算人は、遅滞なく会社財産の状況を調査し、財産目録と貸借対照表を作成して、株主総会の承認を受けなければなりません。
これは、清算人が会社の財産状況を詳細に把握していなければ、適切な清算事務を遂行することが困難だからです。
また、株主にとっても、財産状況=残余財産の額は、大きな関心ごとであるため、これを早急に明らかにする必要があります。
「遅滞なく」となっていて、株主総会までの具体的な日数は定めれていませんが、その性質上、速やかに開催すべきでしょう。
税務官庁への届出
会社の解散に伴って、法務局での登記手続きとは別に、税務官庁での手続きも必要となります。
解散したことよって、税務官庁に届出すべき事項は、以下のとおりです。
①会社解散届
会社が解散した時は、遅滞なくその旨を届出しなければなりません。
届出先は、税務署、都道府県・市町村です。
②解散事業年度の確定申告
会社が解散した時は、直近の事業年度開始の日から解散日までを1事業年度とみなした確定申告をしなければなりません。
申告書の提出は、解散日の翌日から2カ月以内にしなければなりません。
債権申出の催告とは
会社が解散した場合、清算人は、遅滞なく債権者に対して、債権申出の催告手続きを行わなければならず、その手続きをしないかぎり、債権者に対して債務を弁済することができません。
この債権申出の催告手続きについて、会社法では次の2つを定めています。
官報公告
これは、官報公告に掲載することによって、債権申出の催告をする方法です。
この場合、定款所定の公告方法ではなく、必ず官報公告に掲載しなければ法律上の効果が発生しない為、注意が必要です。
また、公告は1回出せばよいことになっていますが、債権申出の期間は、最低でも2カ月間は確保しなければならず、それより短い期間にすることは認められていません。
なお、催告期間中は、原則として債務の弁済を受けることができません。
債権者がこの催告期間内に申出しなかった場合には、その債権者は清算手続きから除外され、分配していない残余財産がある場合は、それに対して支払請求することができますが、残余財産の分配が完了してしまっている場合は、まったく分配をうけることができなくなります。
知れたる債権者への個別催告
これは、清算会社が帳簿記録等によって債権者として認識している人(法人)に対して個別に通知することによって催告する方法です。
この個別通知は、官報公告と同様、1回すればよく、また、債権申出の期間は、最低でも2カ月間は確保しなければなりません。
なお、知れたる債権者については、たとえ期間内に債権申出がなかったとしても、清算手続きから除外することはできません。