株式会社の解散
このページでは、株式会社の解散について詳しく解説します。
株式会社の解散事由
株式会社は、次の事由が発生することによって解散します。
- 定款で定めていた存続期間の満了
- 定款で定めていた解散事由の発生
- 株主総会の決議
- 合併(消滅会社になる場合)
- 破産手続き開始の決定
- 解散を命じる裁判
※定款に存続期間を定めている会社であっても、存続期間満了前に株主総会の決議によって解散することはできます。
※3.株主総会の決議により解散する場合、特別決議によって解散する旨を決定しなければなりません。
なお、条件付き・期限付きの決議は原則として認められていませんので、例えば、事前に「1か月後に解散する」というような決議はできません。
株式会社の解散の効果
4.合併・5.破産により解散した場合を除き、会社は清算手続きに入ります。
4.合併で解散した場合には、消滅会社の権利義務は、すべて存続会社(新設会社)に承継されるため、清算手続きの必要がありません。
5.破産により解散した場合は、通常の清算手続きではなく、破産手続きにより清算されます。
株式会社の清算
清算手続きとは、会社消滅に向け、会社のすべての権利義務関係を清算する手続きを言います。
株式会社では、合名会社や合資会社といった小規模な持分会社で認められているような任意清算(定款または総社員の同意により、会社財産の処分方法を決める方法)によることができず、法定清算といわれる法律の定めに従った厳格な清算手続きのみが認められています。
法定清算には、通常の清算と特別清算の2種類があります。特別清算とは、通常の清算手続きに入った会社が、債務超過の疑いがある等の場合に、裁判所の監督のもとにすすめられる清算手続きを言いますが、実務上は、ほとんど通常の清算手続きになります。
清算株式会社の機関
清算中の株式会社の主な機関は以下のとおりです。
株主総会
解散しても、事業継続中の会社と同様、株主総会は当然存続し続けます。
最終的に清算事務が終了した場合、清算人は決算報告を株主総会に提出し、その承認を受けなければならないことになっています。
清算人・代表清算人
清算人は、清算事務を執行する機関です。
事業継続中の会社では、取締役が業務執行機関となりますが、取締役は解散によって当然にその地位を失い、代わりに清算人が解散後の株式会社の清算事務を執行する機関となります。
具体的な清算人の職務は以下のとおりです。
- 現務の結了
- 債権の取り立て・債務の弁済
- 残余財産の分配
※1.現務の結了とは、解散時において未了の状態にある業務を完結することをいいます。
清算人は、原則として各自が清算株式会社を代表します(代表清算人)が、株主総会の決議等によって、清算人の中から特に清算株式会社を代表する清算人を定めることもできます。
なお、清算人会設置会社においては、清算人会が代表清算人を選任します。
清算人会
清算人が、事業継続中の会社の取締役だとすると、清算人会は、事業継続中の会社の取締役会に相当する機関です。
清算人会は原則として必須の機関ではなく、定款の定めにより置くことができる任意の機関です。
具体的な清算人会の職務は以下のとおりです。
- 清算会社の業務執行の決定
- 清算人の職務執行の監督
- 代表清算人の選定・解職
※清算人会は、取締役会に類似した点が多いため、その運営等については会社法の取締役会の規定が多数準用されています。
監査役
取締役が解散によって当然にその地位を失うと比べ、監査役は解散後も清算会社の機関として残り、当然にその地位を失うわけではありません。
なお、清算株式会社の監査役に任期はありませんが、以下の定款変更がされた場合には、その定款変更の効力が発生した時点で退任することになります。
- 監査役を置く旨の定めの廃止
- 監査役の監査権限を会計に関するものに限定する旨の定めの廃止
清算株式会社の計算
清算人は、就任後遅滞なく、清算株式会社の財産状況を調査し、財産目録と貸借対照表を作成しなければならず、清算人会・株主総会の承認を受けなければなりません。
また、各清算事務年度(解散日の翌日またはその後毎年その日に応当する日から始まる1年の期間)
に係る貸借対照表と事務報告・これらの附属明細書を作成し、清算人会・株主総会の承認を受けなければなりません。
清算活動と清算事務の終了
債権申出の公告(官報公告)
清算株式会社は、解散した後、遅滞なく、会社債権者に対して、2ヶ月以上の一定期間内に、その債権を申し出るよう官報により公告し、かつ、会社が認識している債権者に対しては、個別にその旨を催告しなければなりません。
なお、清算株式会社は、この債権申出期間中は、たとえ弁済期の到来した債権であっても、弁済することが禁止されています。
残余財産の分配
清算手続き後、残余財産を分配するときは、清算人は以下の事項を決定しなければなりません。
- 残余財産の種類
- 株主に対する残余財産の割当てに関する事項
※2.株主に対する残余財産の割当てに関する事項については、各株主の保有する株式数に応じて割当てることを内容とするものでなければなりません。
清算事務の終了
清算株式会社は、清算事務がすべて終了したときは、遅滞なく決算報告書を作成し、清算人会・株主総会の承認を受けなければならない。
この株主総会の承認により、会社は法的に消滅します。