会社解散事由-基礎知識
前回は、会社を存続させておくことが公益上望ましくない場合に、一定の者の請求により、裁判所が会社の解散を命じる、「解散命令」について、解説してきましたが、今回は、株主の利益を守るために裁判所が会社の解散を命じる判決をする、「解散の訴えにも基づく解散判決」について、詳しく見ていきたいと思います。
解散の訴えに基づく解散判決
会社の解散の訴えに基づく解散判決は、株主の利益を保護するために認められている制度です。
株主の利益を守るためには、会社を解散させるしかないような事情があるが、会社が、解散する旨の株主総会決議をすることができない場合、総議決権の1/10以上を有する株主(または、発行済株式数の1/10以上を有する株主)は、訴えを提起することによって、会社を解散させることを裁判所に請求することができます。
ただし、この訴えを提起するには、以下の場合に、やむを得ない事由がなければなりません。
・会社が、業務執行するのに著しく困難な状況になり、会社に回復できない損害が生じた、または、生じるおそれがあるとき
※たとえば、役員間・株主間の対立によって、会社の業務が停滞し、これにより、会社に回復できないような甚大な損害が生じるおそれがある場合などが考えられます。
・会社の財産管理、もしくは、財産処分が著しく失当で、会社の存立を危うしたとき
※たとえば、会社の財産を取締役が不当に扱い、それが、会社が存続できない程度のものである場合などが考えられます。